Q&A 仮払金・内払金

 

示談まで時間がかかりそうですが、当面の治療費等が支払ってもらえるのか、不安です。

 

最終的な示談が成立する前でも、日々の治療費等については、加害者側が加入する保険会社から仮払金や内払金として一定金額を支払ってもらうことが可能でしょう。

 

 

1  仮払金

 

交通事故にあうと、治療費等がかかるだけではなく、仕事を休む必要があるなど経済的にも不安を感じるところです。しかし、示談の交渉や、裁判の手続が終了してから損害賠償金の支払いを受けるのでは、時間がかかってしまいます。

 

そのため、法律には、責任の所在や損害額の有無が最終的に確定していなくても、被害者は、加害者の加入する自賠責保険会社に対して、一定の仮払金を支払うよう請求できると定められています(自賠法17条)。

 

この仮払金の金額は、傷害の程度に応じて5万円、20万円、40万円というように定められます(自賠法施行令5条)。

 

 

    症 状 等 金 額
  (1)

死亡した場合・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

290万円
  (2)

次のいずれかの傷害を受けた場合・・・・・・・・・・・・・

 40万円
   

・ 脊柱の骨折で脊髄を損傷したと認められる症状を有するもの

・ 上腕又は前腕の骨折で合併症を有するもの

・ 大腿又は下腿の骨折

・ 内臓の破裂で腹膜炎を併発したもの

・ 14日以上病院に入院することを要する傷害で、

  医師の治療を要する期間が30日以上のもの。

 
  (3)

次のいずれかの障害を受けた場合

 (上記(2)の場合を除く。)・・・・・・・・・・・・・・・

 

 20万円

   

・ 脊柱の骨折

・ 上腕又は前腕の骨折

・ 内臓の破裂

・ 病院に入院することを要する傷害で、

  医師の治療を要する期間が30日以上のもの。

・ 14日以上病院に入院することを要する傷害

 
  (4)

医師の治療を11日以上要する傷害の場合

(上記(1)(2)(3)の場合を除く。)・・・・・・・・・・・・・・

 

  5万円

 

 

 

2  内払金

 

法律による仮払金としてではありませんが、実務上、保険会社から一定の金額が内払金として支払われることもあります。

 

自賠責保険の支払限度額は、障害による損害については120万円となっていますから(自賠法施行令2条)、120万円までは自賠責保険会社の負担で、それを超える金額については任意保険会社の負担で内払金の支払いを受けられる可能性があります。

 

ちなみに、後に示談や裁判によって損害賠償額が確定したときには、保険会社から支払われる賠償金から、既払いの仮払金・内払金の額が差し引かれることになります。

 

 

 

 

3  加害者が自賠責保険(共済)に未加入の場合

 

乗用自動車について、法律上、自賠責保険(共済)に加入する義務があるのですが、もし加害車両について自賠責保険等に未加入であった場合には、自賠責保険による支払いを受けることはできません。

 

しかし、そのようなときにも、政府保障事業によって、自賠責と同額程度の支払いを受けられることもあります。ただし、社会保険等の給付が受けられるときには、政府保障事業による支払いを受けられないなど、自賠責保険の場合とは制度上異なる点があるので、注意が必要です。

 

 

 

 法律相談のお問い合わせは、こちらから。
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