皆さんこんにちは。
エータ法律事務所の弁護士政岡です。
さて、今回は、家督相続について触れてみたいと思います。
私の元に、最近、
「家督相続で祖父が引き継いでいる不動産の名義が曽祖父のままなので、
祖父の相続人である特定の人に名義変更したい」という相談が幾つか入りました。
最近はあまり耳にしませんが、
ドラマや時代劇、小説の登場人物が
『家督を譲る』とか『勘当する』というセリフを口にすることがありますね。
ご存知の通り、
昔は『家』という単位で物事の仕組みが考えられていましたので、
一家の主が亡くなった際に、全ての地位を次の主に引き継ぎました。
引き継ぐのは基本的に長男で、
全てを引き継いだ長男は他の兄弟や親戚の面倒をみる、
というスタイルでした。
戦前の日本がそのスタイルで、
昔の民法では家督相続制度が採用され、
一家の主の権利や義務、葬祭関係を取り仕切る地位などを
まとめて次の主に相続させる規定になっていました。
ちなみに、法律上も『隠居』の制度が存在していて、
隠居をすれば、亡くなる前に家督を相続させることも可能でした。
私が依頼を受けた件ですが、
家督相続で不動産は祖父のものになっているので、
祖父の相続人だけで話し合い(家庭裁判所での調停)をすれば良いとも思いますが、
家庭裁判所と相談したところ、
「不動産の名義が曾祖父であれば、曾祖父の相続人(つまり祖父の兄弟姉妹の系統の相続人)
全員が集まった調停をしないとダメ」
と言われてしまいました。
枝分かれしている方がもの凄い人数いらっしゃるので、
手続きが非常に煩雑です。
このように、相続が発生した際には、
不動産の名義変更をちゃんとしておかないと、
残された相続人の方々が非常に苦労しますので、
相続が発生したら、その都度、ちゃんと専門家に相談して頂ければと思います。
ちなみに、ご依頼いただいた件は、法務局と相談したところ、
「曾祖父→祖父」への家督相続登記が可能となり、
不動産の名義を祖父に出来ましたので、
祖父の相続人だけで遺産分割調停をすれば大丈夫となりました。
この点の細かなことは、私が執筆を担当している「新日本法規出版㈱e-hoki」という
HPのコラムでご覧いただくことが出来ます。
このHPは有料の会員制ですが、
もしご覧になれる機会があれば、ご確認ください。