皆さんこんにちは。
エータ法律事務所の弁護士政岡です。
5月26日に、
いわゆる「空き家対策法」という法律が施行されました。
最近話題ですのでご存知の方も多いと思いますが、
総務省の調べでは、全国の住宅の14%・820万戸もの住宅が「空き家」
になっているそうです。
この「空き家」は、別に一戸建てに限りません。
アパートやマンションも含まれており、
買い手や借主が見つかっていない物件(募集中の物件)も入っているようです。
ですから、マスコミなどで問題視されている、
一般的なイメージの空き家(住む人が無く放置されているもの)の正確な数は分かりませんが、
私の住んでいる地域の様子や顧問先不動産会社の話からしても、
最近、どんどん多くなっているという印象です。
皆さんのお住まいの近くにも、
雑草が伸び放題で手入れの行き届いていない一戸建てなどが多くなっているのではないでしょうか。
以前から、空き家については、
「ハクビシンなどの害獣が住み着いて困っている」
「放火などが怖い」
「ゴミ屋敷となっていて不衛生、臭い」
などの苦情が良く聞かれました。
ただ、空き家も(たいていは)私人の所有物であるため、
勝手に第三者がいじくることは出来ません。
また、空き家になっている家は、
「長期間放置された結果、その所有者(所有者の相続人)が不明(行方不明)」
というケースも多く、
誰に文句を言えば良いのか分からない状況が結構ありました。
行政も簡単には所有者の情報が掴めず、危険な空き家に手を焼いていました。
そこで、増え続けている空き家の問題解決のために、
今回の法律が施行されたのです。
今回の法律で、倒壊の危険性があったりゴミ屋敷になって不衛生な場合には、
行政が「特定空き家」に指定し、
指定された建物の所有者に解体や修繕を命じることが出来るようになりました。
そして、「特定空き家」に指定されたのに、住民が行政の勧告などを無視した場合には、
固定資産税の優遇措置が無くなり、税金面でのプレッシャーが掛かることになりました。
また、所有者を把握しやすいように、固定資産税の納税手続きの情報を用いて、
所有者調査が出来るようになりました。
最終的には、行政が「代執行」という手続きで
所有者に代わって強制的に解体できることとなります。
このように、一定の方策が講じられることで、
空き家の放置や増加に歯止めを掛けることが出来るかもしれませんが、
経済情勢や不動産市況が大して良くない中で、
今まで放置していた人が費用を掛けて空き家に手を掛けるのか、
税の優遇措置が無くなることがどれだけプレッシャーになるのか、
疑問に思うところもあります。
いずれにしろ、今回の法制度で空き家問題がどの様に変わっていくのか、
興味をもって見ていきたいと思っています。